上位層となるユビキタスサービス層は、いわゆるアプリケーション層のことである。このレイヤの具体的な例としては、「金融、公共、トラベル、交通、製造業、ホーム向けなどのサービスなどが考えられる」(来住氏)という。たとえば、製造業ではセンサ、無線タグなどを駆使し、工場内の人やモノなどをリアルタイムに把握したり、NGNで工場を接続して、遠隔監視やリモート診断などを実現できる。トラベルではチケットレス化が進み、購入方法や情報の入手方法も変化してくるため、新しい基盤整備に伴ってNGNの応用が期待される。交通でもDSRC(Dedicated Short Range Communication)といったクルマ向けの通信手段とNGNを接続して、車内でデジタルコンテンツにアクセスするといったシーンもでてくるだろう。また、金融関連ならば、営業所やATM、コンタクトセンター、ネット金融などのデリバリチャネルとユーザーをNGNで安全に結び、携帯端末などを使ってシームレスにサービスを提供する、などのサービスも想定される。来住氏は「NGNによって、電子決済などを、よりセキュアな環境で提供したい。沖電気の他のカンパニーが持っている事業領域をNGNに対応させ、さらに横断的な展開を考えている」という。
次に中層にあたるユビキタスサービスプラットフォーム層に関して、同社はOSCP(OKI Service Convergence Platform )というコンセプトを提唱している。これは同社のNGNアーキテクチャの要となる部分だ。OSCPはOSCP-SDP(Service Delivery Platform)とOSCPクライアントで構成される。前者のOSCP-SDPは、上位のアプリケーションを簡単かつ柔軟に高信頼性をもってインプリメントし、ユビキタスサービスに対してNGN機能を付帯したサービスを構築・提供できる基盤だ。APIを介して利用し、より付加価値の高いアプリケーションを実現できる。一方、後者のOSCPクライアントは、NGN機能とWeb環境を融合したアプリケーションの利用基盤となるもので、両者を連携させてクライアント上のアプリケーションを利用できる。現在、同社のネットワークシステムカンパニーで特に注力しているのはSDPだという。「OSCP-SDPをつくるにあたっては、実績のある米BEA社の“WebLogic”を利用して開発した。高信頼のアプリケーションサーバが特徴だ」(来住氏)という。