例年のことだが、会場に敷設されるネットワーク環境はその時点での先端技術や話題のテーマを組み込んだ意欲的な構成を採り、出展者/来場者へのサービスのための土台となると同時に、一番の目玉展示でもある。今年の“ShowNet”では「インターネットの縮図」をテーマに掲げ、セキュリティに配慮したセキュアなネットワークであると同時にバックボーンすべてで10Gbps級の帯域を確保した高速ネットワークであり、さまざまな技術やデバイスを混在させた見本市的ネットワークでもある、という構成になった。 対外接続は、まず日本有数の接続拠点であるNTT大手町ビルに対して10G Ethernet×9本で接続し、総帯域は90Gbpsに及ぶ。NTT大手町ビル内では国内の主要IX(Internet Exchange)12か所と接続。IXによってはMPLS(Multi Protocol Label Switching)で接続されたり、IPv4/IPv6のデュアルスタック接続が行なわれたりと、バラエティに富んでいる。 また、今年のShowNetではセキュリティへの配慮が大きな特徴になっている。WIDEによる非圧縮HDTV映像の愛知博会場とのやりとりを見ても分かるとおり、ShowNetは会場内に閉じたネットワークではなく、インターネットに10Gbpsという広帯域で接続されている。このため、インターネットからの不正アクセスや攻撃から防御するのはもちろん、内部も広帯域であることから、不正プログラムの内部感染にも注意を払い、内部で接続される全機器に対するセキュリティ・サービスを提供している。セキュリティ監視ポイントも対外接続点だけではなく、展示会場内に多数設けられたPOD(接続点)を個々に監視している。 提供されるセキュリティ・サービスには、フィルタリング、攻撃監視/防御、脆弱性検査、無線LANサーベイ/スキャン、ウィルスチェックなどがあり、SoftEtherによるVPNサービスなども利用されている。 展示会場内には来場者がShowNetを利用するための設備として“ShowNet Cafe”も作られた。シリコンバレーのカフェを思わせるようなしゃれた雰囲気の中でShowNetに直接接続されたPCを自由に使うことができ、めったに体験できない広帯域通信環境を存分に試すことができるようになっている。 構築/運用に携わるスタッフにとっても、来場者にとっても、普段はなかなか触れる機会のない最先端の広帯域ネットワークであり、まさに「触って学ぶ体験型展示」としても機能している。