今年の報告数トップはKLEZ(亜種を含む)で、全体の約3分の1を占めている。KLEZは、年間を通じて上位をキープし続けており、当然の結果といえる。2位のBADTRANS.Bは年の前半に猛威をふるったもの。
3位のBUGBEAR.Aと4位のOPASERVは、ともに2002年9月末に発見されたワームタイプのウイルス。件数そのものは1・2位より少ないが、集計対象の期間が短いことを考慮すれば1位や2位にひけをとらない報告数といえる。
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トレンドラボ・ジャパン アンチ・ウイルスセンター主任 岡本勝之氏 |
この年間集計の結果についてトレンドマイクロでは、ブロードバンド普及による各ユーザのインターネット接続の長時間化や、ネットワークを利用して伝染するウイルスの増加で、各ウイルスの感染被害の長期化が起きているとしている。また、亜種の出てくるペースが速いため、ウイルスパターンファイルの更新が行き届かないうちに大量感染を引き起こす事態も多いという(ウイルスライターが最初から複数の亜種を用意した上で順次配布していると思われるケースもあるらしい)。
トレンドマイクロ ウイルス感染被害年間レポート 2002年度速報
順位 | ウイルス | 報告件数 | 発見時期 |
1位 | WORM_KLEZ | 16683件 | 2001年10月 |
2位 | WORM_BADTRANS.B | 7231件 | 2001年11月 |
3位 | WORM_BUGBEAR.A | 1790件 | 2002年9月 |
4位 | WORM_OPASERV | 1441件 | 2002年9月 |
5位 | JS_EXCEPTION.GEN | 1257件 | 2001年11月 |
6位 | MTX | 846件 | 2000年9月 |
7位 | WORM_FRETHEM | 629件 | 2002年5月 |
8位 | NIMDA | 588件 | 2001年9月 |
9位 | VBS_REDLOF.A | 565件 | 2002年4月 |
10位 | TORJ_JAPSX.A | 360件 | 2002年9月 |
2002年のウイルス関連のトピックとしては、新プラットフォームをターゲットとしたコンセプトウイルス(Microsoftの.NET向け「PE_DONUT.A」)の登場や、データファイルに感染するウイルス(Flashムービーに感染するSWF_LFM.926、JPEG画像に感染するPE_PERRUN.A)の登場、パターンマッチングによる検出を回避するためにウイルスが自分自身のコードを変化させる「メタモーフィック型」の新型(PE_SIMILE.A)の登場などがあった。
特に、メタモーフィック型ウイルスは、プログラム自体が変化してしまうため、アンチウイルスソフトのほとんど全てが検出の基礎としている「パターンマッチング」では検出できなくなるおそれがあり、完成度が上がってくるとやっかいな事態となる可能性が高い。残念ながら、来年もウイルスに悩まされ続ける状況は続きそうだ。