楽天の強力な「隠し玉」〜本宮ひろ志、入魂の一発はネットで当たるか? | RBB TODAY
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楽天の強力な「隠し玉」〜本宮ひろ志、入魂の一発はネットで当たるか?

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記者会見で意気込みを語る本宮ひろ志(左)と、楽天の三木谷社長(右)
  • 記者会見で意気込みを語る本宮ひろ志(左)と、楽天の三木谷社長(右)
 楽天が自社で運営する「楽天ダウンロード」を通じ、漫画家・本宮ひろ志の人気作品「サラリーマン金太郎」をダウンロード提供することが決まった。

 この企画における最大のポイントは、「書き下ろし作品である」ということだ。インフラとしてのブロードバンドは浸透したものの、そこに流すべき肝心のコンテンツにアイデアがないのが業界の現状だ。

 もし今回の企画が成功すれば、いくらでも変化球は考えられる。たとえば人気作家だけでなく、ブロードバンドコンテンツを人材の発掘にあてる方法だ。
 才能はありながら、埋もれている新人漫画家は多い。そんな「すごくおもしろいのに無名」な作家の書き下ろし作品を提供することで利益が出れば、業界にとっても本人にとってもメリットは大きい。

 また人気作家の作品にしても、書き下ろしにすることで「この作品はWebでしか見られない」という付加価値をつければ消費者の購買意欲は高まるだろう。いろんな意味で非常に注目すべき企画であるといえそうだ。

 この点について楽天の三木谷浩史社長は言う。

「有名作家が描いた漫画作品が、書き下ろしの形でデジタル化された例は今までない。また従来、デジタルの形で提供されていた漫画作品は、見開きをパソコンの1画面に出すのがふつうだった。だが今回の企画では、1コマにたっぷり1画面を当てるなどの工夫をしている。本宮さんの作品を視聴するために弊社の会員登録が増えれば大きなメリットになる」(三木谷社長)

 一方、本宮ひろ志は、出版界の危機をさかんに訴えた。

「漫画は今、悲しいほど売れていません。また紙で作品を出すには印刷代や製本コストなど、さまざまな投資が必要になる。一方、デジタルの形ならとても低コストですみます。また今回のモデルを見て、『それなら自分もやってみたい』と考える漫画家は多いでしょう。

 インターネット上で漫画作品を二次利用するのでは、意味のあるコンテンツにはなりません。『ネットでしか読めない』というのでなければ、ブロードバンドコンテンツは育たないと思います」

 たとえば映画の分野でも、ネットシネマに代表されるような「ネット向けのオリジナル作品」が育ちつつある。内容的には玉石混合ではあるが、切り口はいい。今回の企画は同じ手法を漫画に使う最初の試みだといえそうだ。

 本宮によれば「いつも僕は途中で飽きて作品を投げ出すことが多いんですが、今回は最後までキチンとやりました(笑)」とかなり気合いが入っている。

 また三木谷社長も、「30万〜50万、できれば100万人規模の読者がついてくれると嬉しい」とかなりの自信を見せる。

 はたして企画は当たるかどうか? なにしろ「タマ」は、「あの本宮ひろ志」である。成功すれば冗談抜きで、数十万単位のユーザが支持する可能性もある。コンテンツ業界の将来を占う意味でも、楽天の試みは貴重な試金石になりそうだ。
《松岡美樹》
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